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しづ心なく花のさくらむ

サクラちゃんのお相手を カカシ先生・ナルト・サスケくん から選んでいただくエンディング分岐型小説です

◆ ◆ ◆

それはある晩のこと。
私は火影の執務室に併設された閉架書庫の中、散乱した蔵書の山に埋もれて途方に暮れていた。五影会談に出掛ける綱手師匠が出発直前、水影様に貸し出す約束の薬学書を準備していないことを思い出したのが事の始まり。あの瞬間のシズネ先輩と護衛役の皆さんの顔ときたら、血相を変えるとはまさにああいう様子を言うのだと思った。
検印待ちの報告書を届けにきてたまたま居合わせた私も捜索隊に加えられ、十数分ののち無事に発見された巻き物と師匠一行を見送って、私だけがこの惨状に取り残されたというわけだ。

「ごめんねサクラ!帰ってきたら必ずお礼するから…!」

半泣きのシズネ先輩にそう言われては、文句など零せるはずもなく。

「じゃあ、やりますか…」

なけなしの気合を入れて私は作業に取り掛かった。
3分の1ほど片付いたところで綴じ紐が緩んだ小ぶりの巻き物を見つけた。それほど年代物という感じでもないが、珍しい紅梅色の表装が独特の雰囲気を醸し出している。結び直してから仕舞おうと軽い気持ちで拾い上げ、題箋も見ずにぱらりと広げた。


ぼんっ。


白い煙が視界を覆い、たまらず地面に手をつく。

「けほっ。やば、何かの術式だった?!」

煙が薄らいでくると、私の目に巨大な“縮”という文字が飛び込んできた。

「何コレ?…え、うそでしょ…?」

私が手をついているのは書庫の板床ではなく、紙に書かれた“縮”の糸へんの、両側の“ヽ”の上だった。周囲を見回せば、柱のように天井へと伸びているのは机の脚で、その天井は上空遥か彼方にあった。

「私…縮んだ…?」

恐らくは、身の丈、五寸ちょっと。
血の気が引いていく音がした。
今日はやけに顔色にまつわる慣用句に縁がある…なんてどうでもいいことを考えている場合ではなくて。
?
…くしゅんっ。

?「ていうか私、服…!」

振り返ったところには私の忍服がまるでヘビの抜け殻のように折り重なっていた。つまり私は今、何も身に着けていないということになる。

「ひぇぇ…」

慌ててポーチからハンカチを引きずり出して体に巻きつける。
何という心もとなさ…。
さて問題はこれからどうすべきかということだが、師匠もシズネ先輩も帰ってくるのは5日後だし、その間に火影不在が判っているこの部屋を訪ねてくる人がいるかどうかも怪しい。
助けを求めに外へ出る?こんな格好で?
混乱した頭で必死に考えていると、廊下を近付いてくる足音がした。

あれ?この気配…

「ん?誰もいないのか?ドアは開いてるのに…」

やっぱりそうだ。
何も知らず部屋に入ってきたのは

ナルト だった。 | サスケくん だった。 | カカシ先生 だった。

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